災害時要援護者個別避難計画策定講座・研修会のご案内

災害時に支援が必要な高齢者や障害者ら、一人ひとりの避難方法などを事前に決めておく「個別避難計画」の作成が、2021年5月から市区町村の努力義務になりました。自然災害が相次ぐ中、実効性のある計画の策定を急ぐ必要があり、各地で計画作りが本格化していますが、地域住民の協力も必要なため、解決すべき課題は少なくありません。

この様な状況を踏まえ、当NPO法人では「自治体が災害時要援護者個別避難計画を策定することをサポートする」講座や研修会を開催しています。

対象は、実際の作成業務に携わる自治体職員・担当課だけで無く、自治会・自主防災組織や地域の防災にかかわる方々、民生児童委員やケアマネジャーなど、「災害時に要援護者避難にかかわる可能性が高い方」はもちろん、支援される「要援護者とご家族様」も対象としています。研修時間や内容も、対象に合わせて調整することが可能です。

 

具体的な内容は、

  1. 災害についての基礎的な知識。災害の被害と対策の歴史。
  2. 知っておきたい「災害に関する制度」について。
  3. 災害の種類と、発生する傷病者の特徴と対処法。
  4. 災害時に傷病者発生を防ぐ(減らす)ために必要なポイント。
  5. 「災害時要援護者」を深く理解する。
  6. 過去の大災害で、災害時要援護者避難支援がどう行われてきたか。実際に起きた問題点と反省点。将来への展望。
  7. 災害時要援護者の「自助・共助」について、介護度や障害による違いを理解し、支援者の負担を軽減する方法。
  8. 自治会、自主防災組織、消防団、民生児童委員、ケアマネジャーなど、実際の避難支援に携わる方々と、要援護者との関わり方について。
  9. 具体的な計画策定と運用について。
  10. 個人情報管理と個人情報保護法との兼ね合い。対処法。
  11. 「策定した計画は現実に実行可能か」。策定後の検証について。
 

より具体性の高い研修も開催しています。現在行っている自治体向け研修会では、出席された自治体ごとに、ハザードマップ(想定災害)と災害時要援護者名簿(個人識別が出来ないように加工済)を持参して頂き、「想定災害・想定被害」に応じた対応と、現時点で作成してある「災害時要援護者名簿」に必要な追加項目、また、名簿見直しのタイミングと、見直しにかかる自治体の負担軽減の方法までを、研修を通じて一緒に考えていくスタイルを採用しており、個別避難計画策定業務の一部に組み込まれています。

また、自治体担当者と何度か事前打ち合わせを行い、事前アンケートで理解度やニーズを調査し、事前学習資料配付による事前学習を併用することにより、効果的な研修を行うことが出来るようにしています。

災害時要援護者個別避難計画策定は、現時点では努力義務となっていますが、災害時に被災者の命と健康を守る為には必要な計画であり、いずれ義務化になることが想定されます。しかし、個別性が高く、要援護者の状態も常に変化しているため常に見直しが必要となるなど、策定する自治体にとって負担の大きな事業となります。

乗り越えていくべき課題を整理して、各自治体毎の現状を踏まえた解決策を住民と共に考えながら、住民全ての命と健康を守る為の災害対策を進めていくお手伝いができれば幸いです。私たちNPO法人「首都圏防災士連絡会」は、そのためのお手伝いをさせて頂くために結成されました。

左記画像(読売新聞2021年8月25日朝刊より引用)